京都町中華への偏愛

あなたが京都へ訪れた際、何を食すだろうか。

おばんざいや湯豆腐、鯖寿司……人によって、いろいろな答えがあると思う。
和を代表するといっても過言ではない土地ゆえに、ここぞとばかりに和食や懐石料理を食べたくなるものだろう。

しかしある時、ふらりと町中華の店に入ったその時から、私の京都滞在飯は、町中華一色に染まってしまった。
「京都で町中華?」と疑問に思う方も多いかもしれない。

しかし、京都の町中華は、他の地域の町中華とは似て非なるものなのだ。
何が違うかというと、使っている素材と味わいである。
仏教や神道が日常に浸透している町であることから、ニンニクやネギ、生姜などの香りが強い香辛料の使用は好まれなかったそうだ。
京都の町中華も例に習って、それらの食材は使われていない。
代わりに、料理にパンチを効かせるための食材として、からしが用いられている。

写真の料理は、京都の町中華名物とも言える「カラシソバ」だ。その名の通り、からしが用いられていることが特徴である。
店によって変わってくるが、一般的に、エビ・かしわ・レタスなどが具材になっていることが多い。

そして、味の要となっているのが「出汁」だ。
日本料理には必ずといって良いほど出汁が使われるが、この「カラシソバ」をはじめとした京都の町中華の味付けは、出汁がベースになっているのである。
そのため、やさしい味わいをつくりながらも、ピリリと辛い和からしがほどよいアクセントになって、いくらでも食べられるような品々が出来上がるのだ。

他にも、たまごを好む地域柄なのか、春巻きの皮には薄焼きたまごが使われているなどの違いもある。
そういった様々な違いがとても興味深く、ついつい京都の町中華に愛が偏ってしまう結果となっている。

今回訪問した店は、交渉したものの店名公開は不可とのこと。
「カラシソバ」の超有名店であるため、気になる方はネットで検索されたし。

京都の町中華をまだ体験したことがない方は、ぜひ一度体験してみてほしい。
食べ始めたら最後、一瞬で皿が空になっても、決して文句は言わないように……。

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